有名なジェーン・オースティンの名作恋愛小説ですが、原作を基にしたBBCのドラマが良作だったので、今回はこちらの作品を取り上げようと思います。
あらすじ
女性の地位がまだ高くなかった時代、裕福ではないが、田舎の中流階級で未婚の5人姉妹ベネット家が暮らしているが、近所に、資産家のビングリー、その友人で上流階級で更にお金持ちのダーシーが越してしくる。
物語は、飛び抜けて美しいわけではないが、頭の切れる次女のエリザベスを中心として流れるが、そんなベネット家のお母さん、娘たちをなんとか金持ちの家に嫁がせようと、お父さんを焚き付けて躍起になる。
そんな中、5人姉妹の中で一番美しいと言われる長女ジェーンが、資産家ビングリーさんとなんだか良い感じに。
一方次女エリザベスは、上流階級のダーシーさんに対して、何て高慢で失礼な方なの!?と嫌悪感を抱くが…
出会った人から得た情報や、交流を通して感情や人間関係が少しずつ変化したり、後に起こる大きな出来事が家全体を揺るがす大事件に発展したり、ストーリーに無駄がなく、とにかく面白い作品です。
そもそもの社会背景
当時のイギリスには、女性が自立できるような職業選択の余地がほぼなく、また女子は財産を相続できないため、一家全体を守るためには、多額の持参金を用意し、少しでも条件の良い男性の家に嫁ぐ以外の選択肢がなかったが、この持参金の方が少ないと、難易度がハードモードになってしまう。
現在ではこの慣習はほぼなくなっているが、昔は経済力がある男性が、子供を産める可能性の高い若い女性と結婚するパターンが多かったため、夫と死別した後、女性が未亡人として生きていくための残りの生活費として相手の家に収めるのが決まりだった。
ドラマの見どころ
制限のある時代だったからこそ成り立つストーリー。
ここから先は、ストーリー以外にも、ドラマの見所をいくつかご紹介します。
美しい屋敷
主人公ベネット一家は、何度か他人から、あなた方は身分が低いと貶められるシーンがありますが、わたしから見たら、充分素敵で、田舎の大邸宅に見えます。
使用人もいて、労働もしていませんし、散歩できる森のような素敵なお庭もあります。
またストーリーが少し進むと、上流階級ダーシーさんの屋敷を訪ねるシーンがあるのですが、それがものすごく美しいです。
外観の荘厳さも然る事ながら、緑がいっぱいで家の前に池があったり、土地も広大。
何でも、あのピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターも支援していた、景観保護を目的に活動している、ナショナル・トラストから借りて撮影したとの事。
実在している事がすごいですよね。
長女ジェーンとお母さん
5人姉妹の中で、あなたが1番綺麗。男性は皆あなたのような容姿に惹かれるのよ、と言われる長女ジェーンを演じるスザンナ・ハーカーさんの美しさが異次元です。
立ち振る舞いや後ろ姿、デコルテなどの美しさもそうですが、気品と共に、自愛に満ちた優しいお姉さんの雰囲気が出ています。
次女のエリザベスは、あの時代には珍しい、はっきりと物を言うタイプですが、長女ジェーンは控えめでおとなしく、物事の良い面を見ようとする女神の様な魅力に溢れています。
また、事あるごとに、大騒ぎしてヒステリーを起こすベネット家のお母さんも、良い味出しています。
自分が悲劇のヒロインであるかのように、周りを巻き込んで、時には強く批判し騒ぎ立てたと思うと、今度は突然上機嫌になったりして。
こんな人が身内にいたら疲れそうですが、ドラマの中では良いアクセントになって、何度もその大袈裟な演技に笑わされました。
女性の生きづらさを思う
もしわたしがこの時代に生まれていたら、10代から今までずっと悩んできた、現在も解決できてはいない問題とは無縁でいられたのかな、と思いました。
結婚をしたい人にとっては、親が良い条件を満たすよう全力疾走してくれるのは、ある意味ありがたく心強い事なのかもしれません。
自分で選べない、他に選択肢がないという面もありますが。
中世ヨーロッパの芸術や、王族・貴族文化が好きで、よくそういった類の本やドラマを好んで見たり、貴族に異世界転生したい!と思ったりするのですが、当時の女性に必須であった、ダンスや刺繍などの技術が全くなく、向いてもいないので、あの時代に生まれていたらもっと苦労していたかも、とも同時に思いました。
どちらの方が生きやすい!と白黒はっきりとジャッジする事はできませんが、結婚以外の選択肢も選べるという点は現代の優れた点と言えるかもしれません。
参考書籍・ブルーレイ
【ドラマ】
【小説】